Tree of Chully アンズの木

インド北部ラダック地域の学校支援から2018年夏に活動スタートしました。教育、伝統文化、持続可能な発展、幸せ、生き方について考え草の根レベルで取り組んでいきます。

マンジュシュリ学校について

<ラダック&サクティ村について>

(ワリ峠からサクティ村方面を望む 2018/08/佐藤良一)


(サクティ村にあるドゥクパ・カギュ派のお寺「チェムレ ゴンパ」)
ラダックはインドの最北部、南のヒマラヤ山脈と北のカラコルム山脈に挟まれた標高3000mから7000mの山岳・高原地帯です。人々はチベット仏教を信仰し、伝統的なチベット文化、宗教、生活習慣などを色濃く残した地域で「リトル・チベット」とも称されます。しばしばチベット本土と比較されますが、19世紀まで独立した王国もありラダック特有の伝統文化も残しています。
学校のあるサクティ村は主都レーから約70km南下し、途中のマナリロードへの分岐点にあるカルー村を東側に進み、映画のロケ地として有名なパンゴン湖方面に行く途中、崖下に広がる濃淡混じる大麦畑がパッチワークのように見える美しい村です。サクティ村の家庭数は450家庭とラダックで2番目に大きい村で、村には宗派の異なる3つのお寺があります。

 

<マンジュシュリ(文殊菩薩)学校について>

(ドイツ人のユタさんという方のご支援で建てられたマンジュシュリ学校。マンジュシュリは文殊菩薩の意味で、知恵の菩薩様。)
「マンジュシリ(文殊菩薩)学校」は1996年にドイツ人の支援の元、地元の僧侶・知識人によって設立されました。学校では独自のカリキュラムやルールのもと、通常教科の授業に加えて、チベット語、仏教についての授業なども積極的に行っています。
ここの卒業生はダライ・ラマ法王のチベット語のスピーチを通訳なしで理解でき、僧侶修行を受けたわけではありませんが、仏画、仏像、仏教についての生きる知恵を身につけています。子供達は良い心を作る「チョス」を日々胸に刻みながら学び、生活しています。また、学校内はゴミがほとんど落ちていませんが、ラダックの学校では珍しく、子供達自身が掃除をするそうですが、これは日本の学校に倣ったそうです。また非営利団体として運営するマンジュシリ学校では、良い教育を沢山の人に受けてもらいたいというドゥンドゥプ校長先生の考えのもと、都市の私立学校と比べても学費はとても安く、更に経済的に苦しい家庭は半額や無料制度も適用しています。
しかし一方で、非営利団体であり、国や企業から財政的支援を受けられないため、学校運営は金銭的に非常に厳しい状態にあります。優秀な教師を手放したり、学費の工面が出来ず泣く泣く学校を辞めてしまう子供もいます。現在この学校をサポートしてくれる人や場所がなかなか見つからず、日々、学校創設者の僧侶であるウルギャン代表がカタックスを持ってお願いに回っているらしいです。

 

若者の心を蝕む孤独な都市の寮生活>

ラダックでは近年、評判の良い主都レーにある私立学校で学ぶために、地元の住みなれた村を離れ小さいうちから全寮生活を送る子供達が急激に増えています。伝統的に、子供達は、成績に関係なく存在を認めてくれる家族や地域コミュニティという精神的安心網の中で人を大切にし大切にされて育って来ました。
それが今では経済主義の中心で近代化が極度に進むレーで、学業競争の波に飲み込まれ、多くの若者が孤立し自分の価値を見失っています。タバコ、酒、ドラッグに手を出して心の穴を埋めようとしていますが、非常に悲しいことにラダックではここ数年若者の自殺が増えているそうです。一方で各村々にある政府の公立学校は、設備や教員のトレーニング不足で十分な教育を受けられないと人々からの信用を失ってしまっています。

 

 

<マンジュシュリ学校から>

◆ウルギャン・ツェリン僧侶

(学校の創設者であり、1993年の開校以来、朝から晩まで学校のためにあらゆる仕事をして働いているというウルギャン僧侶)
近年ラダックで外的な発展はすごく進んでいますが、内的な発展はとてもスローです。この学校の目的は、現代の社会をよく観察した上で、社会にとってよい働きができる人間を育てるということです。そのためには毎日「チョス(心をよくする行い)」をすることが大切です。偉大な哲学者のツォンカパの言葉で「心がよいなら大地も空もよくなる、心が悪いと大地も空も悪くなってしまう」とあります。心がよくなれば私たちの人生はとても幸せになります。

 ◆ドゥンドゥプ・タシ校長先生

(ラダック生まれのチベット人のドゥンドゥプ校長先生。以前は他の私立学校からのオファーもあったそうですがこの学校のために働くことを決め断ったそうです。
現代の学校教育のほとんどが「仕事を得る」という目的になっています。教育の本来の目的は「良い人間になる」ということだと思います。良い人間は、自分のことでなく相手や周りのことを考えられます。そして世の中をホリスティック(全体的)に捉えることができます。ラダックの伝統文化を担う若い世代は日々の生活や会話の中で、上の世代からそれを継承します。この村というコミュニティの中で教育を行うことに大切な意味があるのです。

◆ウルギャン・プンツォックさん(卒業生/発起人/現地窓口)

(サクティ村出身でこの学校の卒業生のウルギャンさんの呼びかけによって始まった今回のプロジェクトです。
日本のみなさんこんにちは、ジュレー。私はこの学校の卒業生で、この学校で本当に多くのことを学びました。冬は学校のために自分のできる範囲で先生のボランティアなどをしています。私は2年間バラナシで日本語や文化を学び日本が大好きになりました。まだ日本語はうまく話せませんが、いつか日本に行くことが私の夢です。今回私の友人のせりなさんを通じて、日本の皆さんが協力してくださることに心から感謝しています。本当にありがとうございます。廃校の危機にある「マンジュシュリ学校」を、子供達を、ラダックの未来の応援をどうかよろしくお願いします。

◆ソナム・ワンギャルさん(卒業生/学校ボランティア)

ワンギャルさんはウルギャンさんの同級生であり彼の思いに賛同してボランティアや様々な取り組みをサポートしています。)
こんにちは日本の皆様。せりなさんと皆様に温かいジュレーとコンニチワ。私たちの学校である「マンジュシュリ学校」に代わって、皆さんの多大な取り組みとご支援に、私から心からの感謝の気持ちを伝えたいです。ありがとうございます。同時に、日本と「マンジュシュリ学校」との間に新しい良好な関係が築いていかれることを心から願っています。

 

2018年秋から日本で初支援スタート

『地域コミュニティの人との繋がりの中で、広く質の良い教育機会を提供する「マンジュシリ学校」を、そこで学ぶ子供達を、ラダックの未来を応援しませんか?』

◆望月せりな(ラダックの学校支援団体「Tree of Churry」責任者/日本での支援窓口)

(2014年の初ラダック訪問以来ラダックの土地特に人柄や生き様に魅了され毎年訪問しています。)
私はラダックの親しい友人であり、ここの学校の卒業生のウルギャン君(代表と同じ名前ですが違う人です。)に相談されて、初めてこの学校のことを知り訪問しました。
素晴らしい景観の中にある学校では先生たちは熱心で親切、子供達はみんな素直でとても楽しそうに学校生活を送っていました。また、別の視点において、この学校の素晴らしい所は、地元の住み慣れた村の中で教育を受けられているということです。村人はみんな、赤ちゃんの頃から存在を知っているので、成績や見た目など外的な要素に関係なく、当たり前のように子供達一人一人の存在をまるごと受け入れ認めてくれる人々なのです。そのような精神的安心の中で子供達は、学校で勉強を学びつつ、同時に日々の生活の世代を超えた交流によって、ラダックの伝統文化・精神性をも継承していけるのです。ただ、とても悲しいことに現在学校の経済状況は非常に厳しく、このままではマンジュシュリ学校は廃校にせざるを得ないかもしれないそうです。

ぜひ、興味を持ったかた、少しでもラダックの未来に関わりたいと思ってるかた、気軽にご連絡ください!現在は、チラシづくり、学校交流の手紙交換、クラウドファウンデイングのサイト作りなどスタートさせようと思ってます。
ただ、私一人では、全然力不足ですので、少しでも手伝ってくださる方いたら、ご連絡ください。Facebookのメッセンジャーでも、watashino.pc@gmail.comへメールくださっても大丈夫です。電話したいならお教えします。
※この取り組みはNPO法人ジュレー・ラダックとは直接は関わりなく、私個人の想いや取り組みからスタートさせています。

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